名大・南山生のためのフリーペーパー『粋』 公式WEBサイト

粋スタッフの活動記

【THE・今夜も音楽三昧】#44「白球を打ち、白球を蹴り」

このエントリーをはてなブックマークに追加

皆様こんばんは。今週も「THE・今夜も音楽三昧」の時間がやってまいりました。今週もよろしくお願いします。

さて、この記事は12月6日の午前中に執筆していますが、昨日寝ている間に森保JAPANはクロアチアに惜敗を喫してその戦いを終えていました。ドイツ・スペインという強豪国を倒す大奮迅に熱狂した方も多かったのではないでしょうか?

そこで、今回は「スポーツ」がテーマとなっている歌のお話をしましょう。スポーツといってもいろいろありますが、その中から「日本の国民的スポーツ」の双璧としてしばしば名前が挙がる「サッカー」と「野球」をテーマとする楽曲を、それぞれ取り上げていきたいと思います。

それでは、今週も最後までお付き合いください。

Play Ball! Play Game!

まずは野球の方からお話しましょう(「先にサッカーじゃないんかい!」という突っ込みがありそうですが、主役は遅れてやってくる、というワケで…)。公開日である9日には史上初の「現役ドラフト」が開催され、来春にWBCが控えるなど、話題の絶えないスポーツです。

邦楽においても時折題材となるのですが、その中から今回は2曲、ご紹介したいと思います。

39度のとろけそうな日 炎天下の夢 Play Ball! Play Game!
「せーの」で走り出す デートならデーゲーム 遊びたい年頃なんて訳じゃないけど
「Sunny day Sunday」(1999年、作詞:赤羽奈津代、歌唱:センチメンタル・バス)

1曲目にお話しするのは、1999年発売の「Sunny day Sunday」。全体の長さが2分30秒ほどととても短く、ハネモノのリズムも相まって絶大な疾走感を誇るナンバーです。歌唱したセンチメンタル・バスにとっても突出した売り上げを誇るヒット作となっており、現在でも高校野球の応援の定番テーマになっています(特に済美高校が有名)。

この曲は端から野球をテーマとして制作することが決定していたようで、仮題が「野球ぱんく」であっただけではなく、イントロのリミックス処理などで使われているSEは野球アニメの金字塔「巨人の星」で実際に使われたものを流用しています。ディテールに至るまで1つのテーマに貫徹したことで、楽曲の完成度が底上げされている印象ですね。

豪快なため息で 苛立つ汗を拭いながら 芝生の上を転がるボール ただ目で追うよ Sunny Day Sunday!

いつもの日曜日 君をただ見つめてる ゲームの行方よりずっと君が気になる

「Sunny day Sunday」(1999年、作詞:赤羽奈津代、歌唱:センチメンタル・バス)

筆者は一度だけ、母校の野球部の試合を見に行ったことがある。普段はコールド負けもザラなのだが、その日は意地を見せてくれた

実は「モチーフになった人物」がいました

「野球」がテーマの楽曲、2曲目に取り上げるのはこれです。

走る君を見てた 白いボール きらきら 放物線描いて 記憶の奥へ飛んだ
「明日、春が来たら」(1997年、作詞:坂本裕二、歌唱:松たか子)

1997年の「明日、春が来たら」。10代の頃から数々の映像作品で活躍してきた気鋭の女優・松たか子の歌手デビュー作として発表されたシングルです。この歌で同年の紅白歌合戦の切符を勝ち取り、松はこれで史上初の「前年の司会者の歌手としての参戦」を達成しています。「放物線」や「ウイニングボール」など、野球を想起させるワードがちりばめられた楽曲なのですが、実はこの歌、モデルになった人物がいたのです…。

その人物の名前は「浅倉南」。ご存じ、あだち充の野球漫画「タッチ」のメインヒロインです。これは、作曲家兼コンポーザーの日向大介と共にプロデューサーとして楽曲に関与した永山耕三氏の提言で、彼曰く「松が16歳の頃に自分と出会っていれば、絶対に浅倉南の役をやらせたのに」という後悔があった、というのです。こうした裏話が後々になって発掘されていくことも、邦楽のある意味での楽しみ方といえるのかもしれませんね。

沈む夕日かすめ 渡された君のウィニングボール “I LOVE YOU” 言えなかった 永遠の約束
明日、春が来たら 君に逢いに行こう 夕立ちが晴れて時が 止まる場所を覚えてる?
「明日、春が来たら」(1997年、作詞:坂本裕二、歌唱:松たか子)

時折中古で昔の野球ゲームを買うのだが、出てくる選手達に時の流れを感じる。写真の10人のうち、現役は松田(宣浩)のみだ

お墨付き

さて、お待たせしました。ここからはサッカーがテーマの楽曲を2曲見ていきましょう。

胸にでっかい誇りを掲げていこう 「まだ上に行けるぞ!」そう信じてるよ
高い壁だろうとも どんな相手(てき)であっても 奪いに行くんだ ゴールを
「勝利の笑みを 君と」(2014年、作詞・歌唱:ウカスカジー)

最初に紹介するのは、ウカスカジーの「勝利の笑みを 君と」です。ウカスカジーとは、日本屈指のモンスターバンドの一角を形成するMr.Childrenのボーカル・桜井和寿と、「DA.YO.NE」のヒットで知られるヒップホップユニット・EAST ENDのメンバー・GAKU MCが結成したスペシャルユニットで、シングルは2022年12月現在これが最後の作品ですが、以降もアルバムの発表やライブ活動などを精力的に展開しています。

この楽曲はサッカー日本代表の応援をテーマとした作品ですが、特筆すべき点が2つ。 1つは「応援歌には珍しくダメなときのことも言及されている」という点。そして2つ目ですが、実はこの曲、日本サッカー協会がオフィシャルに公式応援テーマとして認定した楽曲なのです。それだけに完成度は極めて高いと言ってよく、過去と未来のサムライブルーを繋ぐ象徴的な楽曲として君臨し続けることが期待される一曲です。

最高のプレーには惜しみないエールを 不甲斐ないそれには愛を込めバッシングを
蹴落としてきたライバル 昨日までの相手も 仲間になって肩組んで声出してみよう
大丈夫 やれるんだ 君なら絶対に戦って越えろ
「勝利の笑みを 君と」(2014年、作詞・歌唱:ウカスカジー)

この歌の詞に、蹴落としたライバルや昨日までの敵も仲間にする、という旨の記述がある。冒険を続けるとはそういうことなのかもしれない

「まさか!!」…だけど納得の着眼点

本日最後に紹介するのもサッカーに関連する楽曲ですが、今回は先に楽曲概要を説明したいと思います。

タイトルは「ふり向くな君は美しい」。このタイトルを見てぴんと来られる方も多いかもしれませんね。 毎年年末年始を熱狂させる高校サッカー選手権大会の公式テーマソングとして1976年に発表された楽曲です。作詞を阿久悠、作曲を三木たかしという当時の超トップランカーコンビが担った点に、同曲への本気度が伺えます。歌唱したザ・バーズは同大会の放送権を得る日本テレビが主宰する芸能学校の選抜メンバーから成り、後にバンド「カブキロックス」のリーダーとなる氏神一番や、後にコーラスユニット「ロス・インディオス」でボーカルを担当することとなる嵯峨聖子も所属していました。

そんな「ふり向くな君は美しい」ですが、その歌詞をよく見ると…

うつ向くなよふり向くなよ 君は美しい 戦いに敗れても 君は美しい
「ふり向くな君は美しい」(1976年、作詞:阿久悠、歌唱:ザ・バーズ)

…そう、この楽曲はスポーツ大会の公式テーマでありながら敗者の楽曲なのです。普通各種大会のテーマといえば「栄冠は君に輝く」(全国高校野球選手権)のように勝者の楽曲が選ばれることが多い中で、この歌は敗者にクローズアップするのです。

一見眉を顰めたくなりますが、冷静に考えたらありえない話ではありません。なぜなら、ある大会で優勝を決めるということは、(参戦チーム数-1)チームの敗者が生まれるということと同義なのですから。そこを包み隠さずに、それでいて湿っぽくせずに名曲に仕立て上げてのけた阿久悠のすさまじさを感じさせる楽曲が、これなのです。

今回のW杯、森保JAPANはジャイアントキリングを繰り返しながらも、ベスト8への挑戦は次回に持ち越しとなりました。日本代表が「敗者」となった今だからこそ、改めて聞くべき楽曲なのかもしれませんね。

「今ここに青春を刻んだ」とグランドの土を手にとれば
誰も涙を笑わないだろう 誰も拍手を惜しまないだろう
また逢おう いつの日か また逢おう いつの日か 君のその顔を忘れない
「ふり向くな君は美しい」(1976年、作詞:阿久悠、歌唱:ザ・バーズ)

勝者と敗者、それぞれが得て帰るものは違うだろう。そのうえで、その後の人生をどう梶取りするかは、実に難しい

おわりに

というわけで、今回は国民的スポーツの双璧・野球とサッカーに関するお話でした。

筆者はどちらかというと野球派ですが、野球に限らず、スポーツで自国の選手が活躍しているというニュースを耳にして嫌な気持ちになるというケースはそうそう多くはないでしょう。それだけ、国というコミュニティは強固なんだな、と感じさせられる今日この頃です。様々なところから日本への呪詛を耳にすることもありますが、それでも日本という国に対する気持ちはどこかにあるのかな、と感じる、今日この頃です。

それでは、また来週もお会いしましょう~。

作者よりお知らせ

当コラムでは、内容向上などの参考とするため、読者アンケートを行っております。ぜひとも感想をおきかせいただければと思っておりますので、以下のURLより回答をよろしくお願いいたします。所要時間は1~2分程度です。

https://docs.google.com/forms/d/1oyWzQmlP1xmSZ_x4uGCZjOHnx29GuFG_OD3jAr0fzA0

このコラムで紹介した楽曲のプレイリストを用意しました。LINE MUSICで聴くことができます。以下のURLからアクセスしてください。次回以降の紹介曲についても順次公開していきますのでよろしくお願いします。

https://music.line.me/webapp/playlist/upi7nLrdtfvhxjzl_GXu9zYQaUd_BLXPXHlL?myAlbumIf=true

このエントリーをはてなブックマークに追加
村尾 佳祐

© 2013-2023 学生団体『粋』