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コラム

【THE・今夜も音楽三昧】#43「雪なき冬の到来」

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皆様こんばんは。「THE・今夜も音楽三昧」の時間がやってまいりました。今週もよろしくお願いします。

さて、12月になってしまいました(「ました」という言い方も変かもしれませんが…)。筆者は個人的に12月になると「あっ、今日は今年最後のX日なんだな」という感覚を抱きがちです。気温もだんだんと下がってきて、本格的な冬の足音を感じています。先月の頭はまだそこまで寒くなかったというのに…

さて、今回の「音楽三昧」ですが、タイトルを「雪なき冬の到来」としました。ご存じの通り、『粋』は愛知県在住の大学生による学生団体でして、筆者も当然愛知在住なのですが、愛知というのは冬に雪が降るような場所ではありません(2・3年に1回あるかないかだと思います。ちなみに筆者の場合、大学に入ってから1回だけ雪がありました)。

そこで今回は、雪のないウィンターソングのお話をしたいと思います。今週もよろしければ最後までお付き合いください。

冷静に考えると…

さて、今日は最初に皆さんに1つ質問をしましょう。

Q:あなたが、「ウィンターソングの名手」と聞いて連想する歌手はどなたですか?

さあ、どうでしょうか? サマーソングと比較すると絞り込みが容易い質問かもしれませんね。

この質問に対して、広瀬香美の名前を挙げる人はそれなりに入るかなと思います。「ゲレンデがとけるほど恋したい」「Promise」「真冬の帰り道」などなど、冬にまつわるヒット曲を数多く持っており、知名度の高さはピカイチですよね。

では、そんな彼女に関して、もう1つ質問を。

Q:彼女の、一番有名な楽曲ってなんだと思いますか?

こちらの質問に関しても、大半の方の答えは一致することでしょう。しかし、冷静に考えてみてほしい。その曲って、本当に冬の歌なんだろうか??

勇気と愛が世界を救う 絶対いつか出会えるはずなの 沈む夕日に淋しく一人 拳握りしめる私
週休二日 しかもフレックス 相手はどこにでもいるんだから 今夜飲み会 期待している 友達の友達に 
「ロマンスの神様」(1993年、作詞・歌唱:広瀬香美)

1993年の「ロマンスの神様」。彼女の最大のヒット曲であるとともに、彼女の楽曲の大半がタイアップ起用されているスポーツショップ「アルペン」のCMで一番最初に起用された曲でもあります。歌詞は女性の目線から所謂「ハイスペック男子」とのロマンティックな出会いを綴った内容となっており、かなり心持ち強気な内容展開となっているのが特徴的なのですが、実はこの曲、最初から最後までどこにも冬らしい要素がないのです。

この歌のストーリーはざっくり言うと「合コンに行く⇒素敵な男性と出会う⇒なんならデートの約束まで取り付ける⇒神様、ありがとう!」というもので、実は必ずしも冬でなくちゃいけない内容ではなかったりするのです。

しかし、CMタイアップの効果はすさまじいもので、この歌は174万枚ものメガヒットをたたき出します。そして彼女はそれに順応するかのように、90年代を通して数々のウィンターソングを書き下ろしてヒットを量産、ウィンターソングの女王の名を縦としていったのです。

目立つにはどうしたらいいの? 一番の悩み 「性格良ければいい」 そんなの嘘だと思いませんか?
Boy Meets Girl! 幸せの予感 きっと誰かを感じてる Fall In Love! ロマンスの神様 この人でしょうか?
「ロマンスの神様」(1993年、作詞・歌唱:広瀬香美)

名大の図書館では、夏と冬に学生相談サポーターズの方々が制作するプレイリストのQRコードが掲示されている。今年の冬の新作にも期待だ

移ろう季節の哀歌

続いてご紹介する楽曲を一言で表すならば、「哀愁」でしょうか?

一人で想う秋はもう深く 過ぎ去ればむなしく消えた日々
あなたに逢えた秋はもう遠く 迎えつつあるは悲しい白い冬
「白い冬」(1974年、作詞:工藤忠幸、歌唱:ふきのとう)

北海道発のフォークデュオ・ふきのとうの「白い冬」。彼らのデビュー曲で、カナダの歌手ニール・ヤングに影響を受けた独特なギターの使い方や、フォークだけでなくロックやブルースに通ずるものがある旋律に特徴がある楽曲です。歌詞の内容は秋の短い恋に散った男の視点から迫りくる冬を憂う内容。物寂しい情景ではありますが、先述の工夫も相まって渋い哀愁をいい塩梅に醸しています。

ふきのとうは、レコードというよりもライブで大成したユニットといえ、全盛期には年に最高で年間230~250本ものライブをこなしていた時期もあると、メンバーの一人がある取材で語っています。多彩な楽器を駆使する新しくドラマティックな曲調でフォークの新境地を開拓してのけたからこそなのかもしれませんね。

あなたを愛した秋はもう去って 感じるものは悲しい白い冬

もう忘れた すべてあなたのことは 秋の枯葉の中に捨てた…

「白い冬」(1974年、作詞:工藤忠幸、歌唱:ふきのとう)  

この時期になると、地面に枯葉が落ちている場面にしばしば出くわす。こういったもの寂しい光景が、迫る冬の寂寥感をより加速せしめているのだろう

南の街、冬の記憶

今回の「音楽三昧」ですが、最後にこの曲を紹介して締めとしましょう。タイトルはずばり、「雪の降らない街」。

白い冬が街に降りて来た 雪の降らない僕等の街に
二人 手と手を重ね見上げた空一面の粉雪
「雪の降らない街」(2002年、作詞:小渕健太郎、歌唱:コブクロ)

歌唱しているのはコブクロ。6枚目のシングルとして発売された、彼らにとって初の本格的な冬の歌です。作詞した小渕は宮崎県の出身で、作詞するときに自分の地元を思い浮かべながら書いたと言います。

この歌は1番のサビまで⇒1番のサビ⇒2番⇒2番終了後のCメロ⇒最後の大サビ…という順に時間・季節が巡る構図となっており、最初から最後まででちょうど1年が経つように調整されています。冒頭の引用は1番のサビで、大サビ(現在)から見てちょうど1年前の冬の時期の話をしています。その年は滅多に降らない雪が降り、当時思いを寄せていた相手と雪を見つめていたようです。しかしその後(2番の内容から3月頃?)、二人は離れ離れとなっており、後半は残された視点人物の未練がテーマとなっていきます。特に大サビの未練感が半端ではありません。

白い冬が街に降りてくる 璧に並んだ二つのコート 袖が重なり まるであの日の僕とあなたのようです
いつも同じ言葉で結んだ 届くはずの無いこの手紙を 今日も机の奥にしまった
出来る事なら今すぐ この冬空を駆け抜け あなたに会いに行きたい
「雪の降らない街」(2002年、作詞:小渕健太郎、歌唱:コブクロ)

この曲はサウンド面での特徴があります。それは「長調とも短調とも取れる音階配置になっている」点です。基本的には各フレーズの終わり方が不自然になりがちなので忌避される技法なのですが、この歌の場合はしっくりきており、またその不安定性が視点人物の切ない心情とも絶妙なシナジーを生み出しているのです。  

コラムの最初に言った通り名古屋は雪が滅多に降らないが、前回雪が降った時は勢いがかなり激しく、列車も相当遅れていたような

 

おわりに

というわけで、今日は「雪に注目しない」ウィンターソングのお話でした。

ところで、12月に入ったということは、このコラムも開始から間もなく1周年ということになります(当コラムの第1回は2021年のクリスマス・イブ公開でした)。細々とではありますがここまで続けてこられたのは読者の皆様のおかげです。誠にありがとうございます。

さて、筆者は現在3年生であり、もうすぐ『粋』のスタッフとしての任務を終える身です(『粋』のスタッフの任期は3年生の末まで)。したがって、このコラムもいずれどこかで終わりを探らねばなりません。どのようにするかは決まり次第報告できたらと考えておりますので、今後も「THE・今夜も音楽三昧」ならびに『粋』をどうぞよろしくお願いします。

それでは、また来週もこの時間にお会いしましょう~。

作者よりお知らせ

当コラムでは、内容向上などの参考とするため、読者アンケートを行っております。ぜひとも感想をおきかせいただければと思っておりますので、以下のURLより回答をよろしくお願いいたします。所要時間は1~2分程度です。

https://docs.google.com/forms/d/1oyWzQmlP1xmSZ_x4uGCZjOHnx29GuFG_OD3jAr0fzA0

このコラムで紹介した楽曲のプレイリストを用意しました。LINE MUSICで聴くことができます。以下のURLからアクセスしてください。次回以降の紹介曲についても順次公開していきますのでよろしくお願いします。

https://music.line.me/webapp/playlist/upi7nLrdtfvhxjzl_GXu9zYQaUd_BLXPXHlL?myAlbumIf=true

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村尾 佳祐

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