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コラム

【THE・今夜も音楽三昧】#25「試験前 現実逃避 旅の夢(Ocean-side)」

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皆様こんばんは。「THE・今夜も音楽三昧」のお時間です。今週もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、弊誌の性質上、このWebを見てくださったりしている方の多くは大学生なのではないかと思いますが、恐らく春学期最後の講義が続々と終わり、テストが迫っているという方が多いのではないでしょうか? 書くいう筆者もその1人で、GPAの暴落に戦々恐々としております。そんなときついついやってしまうのが現実逃避、特にテスト後の夏休みの過ごし方の妄想です。

というわけで、今回と次回は、例のパンデミックがなければ大学生の夏の過ごし方・不動のスタメンであろう「旅の歌」をテーマにお送りします。第1夜となる今回は「Ocean-side」、「海方面」です。それでは最後までお楽しみ下さい。

適応規制では、こういうのを「抑圧」っていうそうです

ところで先日、歌手の山本コータロー氏が世を去ったとニュースで聞きました。山本氏といえば自身の名を冠した「走れコウタロー」が有名ですが、筆者的には、どちらかというとこっちの印象が強かったりします。こっちもそこそこ有名曲ですが。

あなたがいつか話してくれた岬を僕は尋ねてきた

「二人で行く」と約束したが 今ではそれも叶わないこと

「岬めぐり」(1973年、作詞:山上路夫、歌唱:山本コータロー&ウィークエンド)

1973年の「岬めぐり」。恋に破れた男性が思い出の岬に出向くという、旅情フォークの代表曲です。件の岬は神奈川県・三浦半島がモデルだと言われており、関東の大手私鉄・京急が三浦海岸駅の駅メロにこの曲を採用しています。

テーマは傷心旅行ですが、サウンドはむしろ爽やかで牧歌的というギャップも印象的で、山本氏の伸びのある歌唱と合わせてフォークのスタンダードナンバーの一角を守っています。車ではなくてバスに乗っているという設計も、都会を離れた田舎のゆったりとしたときの移ろいを感じさせ秀逸。失恋していようがいまいが、海の見える街への旅のお供に聴きたくなる、不朽の一曲です。

岬めぐりのバスは走る 窓に広がる青い海よ

哀しみ 深く海に沈めたら この旅終えて街に帰ろう

「岬めぐり」(1973年、作詞:山上路夫、歌唱:山本コータロー&ウィークエンド)
京急はこの歌以外にも「夏色」(ゆず、上大岡駅)や「さくら」(ケツメイシ、井土ヶ谷駅)、
「道」(EXILE、金沢八景駅)など、多数の邦楽を駅メロに使用。愛知の鉄道でもやって欲しいが…

B面発・多国籍派バラード

先ほど説明した「岬めぐり」が発表となる少し前の1972年、日本のロック界の草分けと名高いバンド・はっぴいえんどが解散します。メンバーはのちに作曲家・筒美京平とのコンボで歌謡曲に巨大旋風を巻き起こす松本隆に、のちにYMOの一員としてシンセサイザーミュージックの大御所となる細野晴臣、アレンジャーとして700曲以上の編曲に参与した鈴木茂など、まさに錚々たる面々。そして、そのバンドのリーダー格と目されたのが、大滝詠一でした。

その大滝は、はっぴいえんど解散から約10年後の1981年、40年以上たった今なお名盤として高い支持を集めるアルバム「A LONG VACATION」を発表します。その先行シングルとして発売されたのが、金麦のCMで有名な「君は天然色」。そして、そのB面曲が、これでした。

薄く切ったオレンジをアイスティーに浮かべて

海に向いたテラスでペンだけ滑らす

「カナリア諸島にて」(1981年、作詞・歌唱:大滝詠一)

タイトルの「カナリア諸島」とは、アフリカ大陸の北西に浮かぶスペイン領のリゾート地のこと。そこで過ごす優雅なバカンスを歌った作品です。A面の「君は天然色」がハネモノのエッセンスを盛り込んだリズミカルな楽曲なのに対し、こちらは寄せては返す波のようなゆったりしたテンポの楽曲です。

特筆すべき点は、その「異国情緒感あふれるサウンド」。ボサノバ、レゲエ、ハワイアンなど多国籍な音楽ジャンルの要素を違和感なく合体させた新しいサウンドで、日本から遠く離れた異国の地の空気を生み出しています。この歌が世界旅行が徐々に日の目を浴びていた当時の聴衆の心を鷲掴みにしたのは、そういった試行錯誤の結果だったのかもしれませんね。

夏の影が砂浜を急ぎ足に横切ると

生きる事も爽やかに視えてくるから不思議だ

カナリア・アイランド カナリア・アイランド 風も動かない…

「カナリア諸島にて」(1981年、作詞・歌唱:大滝詠一)
実はこの歌を作った時、大滝はカナリア諸島の土を踏んだことがなく、かつて訪れたギリシアの
港などの記憶を頼りに作成したという。あの国際的なサウンドも、想像力の賜物なのだろうか

3年越しに突き抜けし夢へのFLY

「A LONG VACATION」のヒットからさらに約10年が経った1990年、航空大手のJALは沖縄旅行のキャンペーンソングを探して、あるアルバムにたどり着きます。大所帯バンド・米米CLUBが1987年に出した「KOMEGUNY」。このアルバムの収録曲ほぼすべて、ファン以外の知名度がさほど高くないアルバムオリジナル楽曲という作品でしたが、その中の1曲が製作スタッフに高く支持され、CMソングとして3年越しの抜擢を受けます。その歌、実はこれだったんです…。

「逢いたい」と思うことが何よりも大切だよ

苦しさの裏側にあることに目を向けて

夢を見てよ どんな時でもすべてはそこから始まるはずさ

「浪漫飛行」(1987年、作詞・歌唱:米米CLUB)

そう、米米を代表するナンバーの1つとして名高い「浪漫飛行」。夏らしい爽快感のあるサウンドと前向きな歌詞で幅広い層からの支持を集めた楽曲です。実際、先述のCM解禁に合わせて改めてシングルカットされた際には170万枚越えの大ヒットを記録しています。

加えて、この曲には多彩なバージョンが存在していることでも有名です。まず、シングルカットされたときのB面曲が関東圏と関西圏で違いました。前者はイージーリスニング風アレンジの「ジェットストリーム!浪漫飛行」、後者はマーチ風アレンジの「そら行け!浪漫飛行」です。さらに2007年には「嗚呼!浪漫飛行」、それとは別のベストアルバム限定バージョンとして「浪漫飛行’07」と、CD化されたものだけでも5種類。3年間日の目を浴びなかった楽曲がここまで躍進した例はさほど多くありません。ちょうどバブルが崩壊するかしないかの時期で沖縄旅行の需要が高まっていたことも手伝い、「浪漫飛行」は飛行機の旅を象徴する楽曲へと上り詰めたのでした。

君と出会ってからいくつもの夜を語り明かした はちきれるほどMy dream!

トランク1つだけで浪漫飛行へIn the sky! 飛び回れ! このMy heart! Wow…

「浪漫飛行」(1987年、作詞・歌唱:米米CLUB)
先のCMの内容は、神輿に乗り、白いローブに金属アクセサリーを多数身に着けた米米CLUBの
メンバーが派手に登場するという内容で、米米特有の「お祭りムード」とのシナジーは抜群だった

終わりに

というわけで今週は「海への旅」をテーマに3曲紹介しました。次回は「山への旅」をテーマにお送りする予定ですので、お楽しみに。

それでは、また来週この時間にお会いしましょう~。テスト、頑張りましょうね!!

作者よりお知らせ

当コラムでは、内容向上などの参考とするため、読者アンケートを行っております。ぜひとも感想をおきかせいただければと思っておりますので、以下のURLより回答をよろしくお願いいたします。所要時間は1~2分程度です。

https://docs.google.com/forms/d/1oyWzQmlP1xmSZ_x4uGCZjOHnx29GuFG_OD3jAr0fzA0

このコラムで紹介した楽曲のプレイリストを用意しました。LINE MUSICで聴くことができます。以下のURLからアクセスしてください。次回以降の紹介曲についても順次公開していきますのでよろしくお願いします。

https://music.line.me/webapp/playlist/upi7nLrdtfvhxjzl_GXu9zYQaUd_BLXPXHlL?myAlbumIf=true

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村尾 佳祐

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