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コラム

【THE・今夜も音楽三昧】#18「勇気と希望の六角形」

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皆様こんばんは。「THE・今夜も音楽三昧」の時間がやってまいりました。今週もよろしくお願いします。

いや~、6月になりましたね。本来であればここからようやく夏本番に突っ込んでいく頃合いだと思いますが、今年は既に夏なんじゃないかと錯覚する程度には暑いですね…。この調子では夏は何度になるんでしょうか。今年は名古屋でも最高40度超えるんじゃないですかね…?

今回お送りするテーマは、6月になったらしようと結構前から決めていた、「六角形」に関するお話です。どうぞ、今週も最後までお付き合いくださいね~。

君は、あの番組を覚えているか!?

さて、今回ですが、あるテレビ番組に関するお話なんです。その番組の名は、

「ヘキサゴンⅡ クイズパレード」

2005年度第3クール(10月~12月)の番組改編で水曜19時のバラエティ枠に組み込まれたクイズ番組です。6人のメンバーから成る週替わりの3チームが週間チャンピオンを戦う形式を取っており、縄跳びやドッジボールを組み込んだ個性的なクイズや、チーム分けに使うテスト結果を街頭調査で予測させる取り組み、さらにインテリ層だけではなくクイズがあまり得意ではない、いわゆる「おバカ枠」の出演者にも光を当てる試みで支持を集め、フジテレビ黄金期を築いた番組の一つとなりました。

そんな「ヘキサゴン」ですが、2007年ごろから番組終了を迎えた2011年まで、およそ3年にわたり、出演者に番組限定ユニットを結成させてCDデビューさせたことでも大いに話題を集めました。楽曲群の多くは「天下無敵のロックンローラー」のスマッシュヒットで知られるロックバンド・アラジンの高橋兄(けい)と、同番組の司会者であった島田紳助(「カシアス島田」名義。番組終了も彼の引退によるものでした)のコンビで生まれ、他のフジテレビ系列の番組の追随が起こるなど、一大ムーブメントを引き起こしました。ベスト版は2008年から4年連続で発売され、いずれもかなりのヒットを記録しています。

そんなわけで、今回は「ヘキサゴンオールスターズ」に関するお話です。

原点にして頂点! 「Pabo」 と「羞恥心」

さて、一番最初にこの番組が世に送り出した音楽グループは「Pabo」といいます。当時珍解答を連発して話題を呼んでいた3人の女性出演者から構成されており、名前は韓国語で「おバカさん」という意味。メンバーが3人ということからか、キャンディーズへのオマージュが随所にみられるのが特徴でした。

グループの発案は島田でしたが、当時はまだ大々的に売り出す意図はそこまでなかったようです。その証拠に、彼女達が歌った最初の楽曲「恋のヘキサゴン」は元々番組でのタイアップと着うた限定で公開されていました。しかし、反響は島田の予想以上に凄まじく、発表からおよそ1か月後にCD化されるに至りました。

足し算・引き算苦手だわ 損する恋愛したくない

√(ルート)の計算出来ないの

ヤツの心のルートは知ってる 逃がさない!!

「恋のヘキサゴン」(2007年、作詞:カシアス島田、歌唱:Pabo)

そして、この歌がヒットしたのを見た島田が次に目を付けたのが、Paboのメンバーと同じように珍解答を連発していた3人の男性出演者達。島田は彼らのグループに「羞恥心」と命名し、歌手デビューを命じます。

俺達は パワーはいつも どんな時も負けはしないさ

人生! 人生! 人生! 夢で生きてる

「羞恥心」 (2008年、作詞:カシアス島田、歌唱:羞恥心)

どことなく1980年代のアイドル歌謡を彷彿とさせるサウンドのデビュー曲は瞬く間に大ヒットを記録し、社会現象にもなりました。どれくらい反響が凄かったかというと、彼らの名前が「現代用語の基礎知識2009」にばっちり掲載された程度にはすごかった。かくして、「ヘキサゴン」初の音楽グループはその注目を一挙に集めるようになったのです。

人生はいろいろなものに例えられる。山登りとかクルージングとか紙飛行機とか。しかし、冷静に
考えればそれも当然なのだろう。この問題に全員が納得する最強の解なんてものはないのだから

一気に広がる「六角サウンド」

元々は「おバカキャラ枠」のメンバーによって始まった「ヘキサゴンオールスターズ」でしたが、この「Pabo」と「羞恥心」のヒットを皮切りにバリエーションが一気に拡大します。

例えば、中堅芸人たちによる音楽グループ・エアバンドは人生訓をヤンキー・ロックに載せて歌い上げ…

人はお前だけじゃない まっすぐ歩けばぶつかるし

押し倒して進むのか? 回り道し て進むのか? お前次第

どんなに辛かっても どんなに打ちのめされても ケツは地面につけるな

「アブラゼミ♂」(2008年、作詞:カシアス島田、歌唱:エアバンド)

一発屋として一世を風靡した男たちはその悲哀をコミックソング調に仕上げ…

オチを嚙んでしまうヤツは誰だ!? リアクションだけのヤツらよりマシだぜ

周りの奴らに追い抜かれてきた 慌てず騒がずネタを作ってた

「天下無敵の一発屋 2008」(作詞:カシアス島田、歌唱:一発屋2008)

さらには、出題者とアシスタントのアナウンサーコンビは本格的な演歌をデュエットし、週間有線演歌チャートを制覇したりしました。

待てと言えない男の生きざま お前の幸せ祈るだけ 私、飛べないゆりかもめ

久々見上げた空は美しく 私、飛べない海ほたる

「お台場の女」(2009年、作詞:カシアス島田、歌唱:上司と部下)

その中で、いくつかの楽曲にはタイアップもつき始めます。先述したPaboは、テレビ東京系列でアニメ化されていた「たまごっち」の劇場版「うちゅ~いちハッピーな物語!?」に主題歌として「グリーンフラッシュ伝説」を書き下ろしました。局を飛び越えての楽曲提供から、彼らの影響力が窺い知れます。

グリーンフラッシュ! 南の島の グリーンフラッシュ! 小さな伝説

夕日が沈む瞬間 グリーンに光るんだって!

「グリーンフラッシュ伝説」(2008年、作詞:カシアス島田、歌唱:Pabo)

一方、2010年には「ヘキサゴン」のナレーターを声優・田中真弓が務めていた縁で、アニメ「ワンピース」の主題歌の話が舞い込みます(田中女史がルフィの声を担当していたのです)。中盤の重要局面での起用だったことや、そのストーリーの重さとは無縁な明るい作品だったことから物議はありましたが、純粋に作品だけ見れば十分評価に値する仕上がりです。

風を感じよう 風を感じるんだ 涙乾かしてくれる風をさがしに行こう!

冒険の旅 誰かと出会うために立ち止まらないさ!

ほら、前に大切なキミが待ってる

「風をさがして」(2010年、作詞:カシアス島田、歌唱:矢口真里&ストローハット)

このようにして、2000年代末期の音楽シーンを席巻した「ヘキサゴンオールスターズ」。ここからは、その中から特に大きな影響力を与えた2曲を紹介しましょう。

ほら突っ走れ、立ち止まるな! 時間は止まりはしないから 蒸気機関車のように走る、それが青春
「青春、俺」(2009年、作詞:カシアス島田、歌唱:エアバンド)

超巨大特番を彩った名バラード

1曲目は、フレンズが2009年に発売したこの歌。

今日だけ泣いても構わないですか? 明日から泣かずに生きていくから

別れの時がもうすぐ来るんだね 夏の終わりの夕陽のように

切なく輝く君を見送る…

「泣いてもいいですか」(2009年、作詞:カシアス島田、歌唱:フレンズ)

この歌がリリースされた2009年、「ヘキサゴン」に大仕事が舞い込んできます。フジテレビがパンデミック以前まで毎年夏に放送していた大型特番「FNS 26時間テレビ」のメイン番組に指定されたのです。この歌は、その「26時間テレビ」のテーマ曲として書かれ、番組中で度々披露されました。ト長調で紡がれた明るくも切ないサウンドが夏の終わりの旅立ちを惜しむ歌詞とマッチし、感動的な仕上がりになっています。

同年のFNS26時間テレビは平均視聴率が21世紀以降に放送された19作中4位タイとなる13.8%、最高視聴率23.7%を記録するヒット作となり、翌年もメイン番組としてフジテレビの大勝負手に加わったのでした。

夏の終わりの空が妙に青く見える時、それは秋の季節を連れてくる。なぜ人は、今ある
ものの揺らぐ瞬間を感じる時、景色を鮮やかなものとしてとらえようとするのだろうか

このままじゃ、終わるわけない!

そして2作目はこの歌です。これまでに出た曲を知らなくてもこれは知ってる! という方も多いかもしれません。

このままじゃ、終わるわけない!

頑張れニッポン! 凄いぞニッポン! 立ち上がれ、今だ! ニッポン!!

美しく高く飛べ! 誇り取り戻すために 戦えニッポン! 日本のサラリーマン

「陽は、また昇る」(2008年、作詞:カシアス島田、歌唱:アラジン)

2008年に発表された「陽は、また昇る」。歌唱しているのは、先述した「Pabo」と「羞恥心」の6人に、お笑いコンビ・FUJIWARAの2人を加えた8人からなるユニット・アラジンです。

この曲が世に出たのは2008年の夏。徐々に景気後退との声が大きくなり、同年秋のリーマンショックへの布石が打たれ始めていた、何となく陰鬱とした時期です。そんな時期に登場した、日本の誇り・希望を前面に押し出した全サラリーマンへの応援歌は視聴者の心に大きく響くものとなりました。

そして、同年の暮れには紅白歌合戦に白組で選出され、この歌が披露されました。ヘキサゴン旋風は天下のNHKをも動かす巨大なムーブメントだったのです。

この歌の歌詞には、日本発の天才的発明も数々登場する。サラリーマンのみならず、多くの人々の
味方たる缶コーヒーも、現在の形式を編み出したのは紛れもなく日本であり、歌詞に出てくる

おわりに

というわけで、今回は「ヘキサゴンオールスターズ」をテーマにお送りしました。筆者もリアルタイムで見ていましたし(正直、問題の意味が分かっていたかは微妙ですが)、後々のクイズ番組好きの原点になっていることもあり、思い入れの深いテーマでした。

時代は変わって、最近は番組発のアーティストというのもだいぶ減ってきましたよね。懐古主義と言われてもやむ無しかもしれませんが、たまにあの頃のテレビ番組の活気が恋しくなる時もあります。何というか、お祭り気分というべきか。ああいう活気が必要じゃないかと思います。鬱屈とした出来事の多い最近なんかは、特に。

このコラムでは来週以降も、様々な画角から邦楽の世界に切り込み、その奥深さを探求していきたく思います。来週も是非この時間は「THE・今夜も音楽三昧」でお会いしましょう~。

それでは、今週も最後までお読みいただきありがとうございました。

作者よりお知らせ

当コラムでは、内容向上などの参考とするため、読者アンケートを行っております。ぜひとも感想をおきかせいただければと思っておりますので、以下のURLより回答をよろしくお願いいたします。所要時間は1~2分程度です。

https://docs.google.com/forms/d/1oyWzQmlP1xmSZ_x4uGCZjOHnx29GuFG_OD3jAr0fzA0

このコラムで紹介した楽曲のプレイリストを用意しました。LINE MUSICで聴くことができます。以下のURLからアクセスしてください。次回以降の紹介曲についても順次公開していきますのでよろしくお願いします。

https://music.line.me/webapp/playlist/upi7nLrdtfvhxjzl_GXu9zYQaUd_BLXPXHlL?myAlbumIf=true

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村尾 佳祐

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