「『粋』はあくなき自己実現の場」。『粋』のデザインの要は、今日も真髄を極め続ける
『粋』スタッフたちはどのようなことを考えて誌⾯を制作しているのか? 彼らの思いに迫る粋 Web 限定企画「スタッフに訊く!」
#3では、『粋』誌面のデザインやレイアウトを作成する部署・DTP 部の新リーダーに今年度から就任したいでんごが登場。写真を通じて『粋』を支える中で感じたことをありありと語ってくれました。 聴き手は企画部の村尾でお送りします。
「イラレ」に憧れて叩いた『粋』の門
―そもそも、『粋』に入ろうと思った理由は何でしたか?
自分の友達にイラレ(注:Adobe Illustrator のこと。高度なグラフィックデザインが可能なパソコン向けアプリケーション)を使える人がいて、自分も使えるようになりたいな、と考えていました。ただ、自分は飽きっぽい性格で、1人じゃなかなか続けられないだろうなと思い、サークルでそういったものを使える環境があったらいいな、と考えていました。
そんなときに『粋』のオンライン説明会があると知って参加したらデザインを専門に取り扱っている DTP 部があると分かって、ここだ‼︎ と思い、入部を決めました。
―これまでスタッフとして活動をしてきて感じたことはありましたか?
号を重ねるにつれて、デザインって難しいんだなと痛感するようになりましたね。初めてデザインを任されたときには、入る前から考えていた「『粋』に入ったらこういう誌面を作りたい」という構想をそのまま誌面にぶつけることができましたが、それ以降は「前の号と被らないように」だとか「デザインの引き出しを増やしたいな」だとか、入ってすぐの時にはあまり考えなかったようなことを考えながらデザインするようになりました。そういった意味では、入ってすぐの時の方が自由にデザインしていたのかもしれませんね。
ただ、回を重ねるごとに生まれてくる課題や目標を乗り越えていく過程は楽しいものですし、充実もしています。今は、いつだって最高傑作を作りたい!という気持ちで工夫をしながら過ごせているかな、と思います。
先輩の凄さを知る契機となった DTP 部長就任
―DTP 部長になった理由はありましたか?
そもそも、幹部を決める話し合いがあった当時は DTP 部の同期が自分を含めて2人しかおらず、どちらかが就任しなければならないという状況でした。一方で、 自分は編集長に立候補することも考えていて、そのことはもう一人の同期も応援してくれていました。
そこで、「編集長はやりたいけれど DTP 部長はちょっと…」といって DTP 部長に就任しないのは変な話なのかな、と思い、「もし編集長が別の人になったら自分が DTP 部長に就任しよう」と決心しました。そして、結果的に自分は編集長にならなかったので、DTP 部長を引き受けました。
―もうすぐ DTP 部長として初めて関与した号の制作が終わろうとしていますが、初めて編集長という立場で『粋』 を制作してみて、どうでしたか?
ばっさー先輩(先代のDTP 部長)の凄さを痛感しましたね…(笑)。 自分は手持ちの仕事に追われて、他の人のデザインを入念に見る時間を作るのに苦労しましたが、先輩はいつだって自分のデザインを素早く、かつ高いクオリティで仕上げ、あとの時間は他のスタッフのデザインに惜しみなく助言をしていました。先輩の境地は遠いな…と感じましたね。いつかは追いつきたいです。
理想に「線引き」をする
―『粋』のスタッフとしてフリーペーパーを創ることの醍醐味は何だと思いますか?
フリーペーパーに限った話ではないのかもしれませんが、情報を発信するときは自分の知らないものに触れる機会が多いじゃないですか。そういった機会を経て、自分の知識や興味の幅を広げられること・自分を形成するものが増えていく感覚を味わえることが一番の醍醐味だと思います。
―誌面を作るうえで、一番大切だと思うポイントは?
ファーストインパクトを与えるデザインを作ることです。例えば雑誌を本屋で買う場面を考えたときに、それを買うかどうかを決めるための判断材料として一番最初に使うものは、装丁のように視覚で得られる情報じゃないですか。目にした瞬間に読者を引き込むようなデザインを作ることは心がけていますね。
一方で、文章との折り合いをつけることも忘れてはならないと思います。インパクト先行でデザインを作りすぎると、そのように意識しなくても自然と文章を軽視したデザインになりがちで、それは良くない。(文章執筆を担当する)企画部のスタッフ達と相談をしながら、自分の目指すデザインと全体の調和の間の線引きを決めることが大切です。
―これまでの編集者生活で印象に残っているエピソードはありますか?
72 号(2022 年1月発行)のデザイン校正です。ちょうどパンデミックの波の間の時期で、久々に対面で実施された校正だったのですが、最終日の夜になってもデザインが仕上がらず、部室に他の DTP 部のスタッフ達と6人ほどで居残りしてデザインを完成させました。
それまでは先輩方から「自分が1年生のときとかは部室に缶詰め状態になって校正をしていたよ」と教えてもらってもどこか信じられなかった節があったので、本当にそこまでして校正をするのか…と驚かされました。それを経てデザインが完成した瞬間の爽快感は…それはもう格別でしたね(笑)。
『粋』はあくなき自己実現の場所
―これからの編集者生活の展望はありますか?
もっとカルチャー色の強いデザインを作ってみたいですね。これから制作する号(2022 年7月頃発行予定の第 74 号)では特集企画のデザインを担当することになったので、実践に移したいなと考えています。
それから、様々な媒体の上手い使い方を探りたいですね。本誌以外にも粋Web、公式Twitter、公式Instagramなど、『粋』は様々な媒体を持っていますが、それらをより活用して、そのすべてにおいて強みを誇れるようなメディアを目指したいですね。
―あなたにとって、『粋』とは何ですか?
『粋』は自分が目指すデザインを突き詰められる場所だと思っています。そういった意味で、自分にとっての『粋』はあくなき自己実現の場ですね。
「素敵だな」と思っていただけるデザインを目指したい
―スタッフの仲間たちに伝えたいことはありますか?
同期は、適当なところがある自分を暖かく見守ってくれて感謝しかないですし、尊敬できる仲間たちだと思っています。これからもよろしくお願いします。
後輩は…みんな凄くて自分の立つ瀬がないです(笑)。それこそ、自分が今引退しても困らないんじゃないかと思うこともありますね。
―読者に伝えたいことはありますか?
『粋』を手に取ってくださりありがとうございます。これからも読者の皆様に「素敵だな」と思っていただけるようなデザインを目指して日々邁進していく所存です。
インタビューを終えて―聴き手・村尾のひとこと―
「スタッフに訊く!」担当者よりお知らせ
当連載では、内容の向上や今後の企画の参考とするため、読者の皆様にアンケートへのご協力をお願いしております。『粋』は読者の皆様のご支援があってこそ成り立っており、皆様の感想は我々スタッフ一同にとっても大きなモチベーションになっておりますゆえ、ぜひとも感想をお聞かせいただければと思っております。よろしくお願いいたします。