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コラム

【THE・今夜も音楽三昧】#13「サヨナラは明日のために!」

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皆様こんばんは。「THE・今夜も音楽三昧」の時間がやってまいりました。今週もよろしくお願いします。

さて、春というのは出会いの季節であると同時に別れの季節でもあります。進級・進学・新入社などによって環境が変わるということはすなわち、元の環境に別れを告げることを意味するのであります。しかし、別れと言ってもさまざま、別れの数だけその心情があります。寂寥感に身を晒しながらの淋しい別れもあれば、次の環境への期待を胸に爽やかに去っていく別れもあるでしょう。そして、別れの対象も人間のみならず、過去の自分や過去の記憶など多岐にわたります。

そこで、今週の「THE・今夜も音楽三昧」は、「別れ」をテーマにお送りします。別れと言えば暗い印象が持たれがちですが、ここでは決してネガティブ一辺倒ではない、 別れの瞬間を清々しく彩る歌に関するお話をお送りしたいと思います。今夜も最後までお付き合いくださいね。

達観したような「さらば」

こんにちは ありがとう さよなら また逢いましょう

うってつけの言葉はないけど 帰ろう帰ろう 帰ろうよ 家まで…

こんにちは ありがとう さよなら また逢いましょう

さっきまでの熱気はないけど 帰ろう帰ろう 帰ろうよ お元気で…

「さらば」(2002年、作詞:伊藤俊吾、歌唱:キンモクセイ)

最初にお送りするのは、キンモクセイが2002年に発表した「さらば」。けらえいこの人気漫画「あたしンち」が同年4月にアニメ化された際に最初のオープニングテーマとして書き下ろされた歌です。

この曲の特徴は、どことなく冷静さを感じさせる雰囲気です。「さよなら」ではなくて「さらば」というタイトルや、主観的な視点ながら周囲を分析するような歌詞は、ボーカル・伊藤氏の特徴的な歌声と相まってどこか達観したような感覚をもたらします。しかしながら決してドライというわけではなく、それを懐かしさを伴う温かみとして受け止めさせるサウンドが秀逸。疾走感のあるリズム・テンポも相まって聞き心地はかなりのものがあります。「あたしンち」の世界観にもマッチしており、タイアップが付くのも納得の仕上がりです。

眠くないのに 疲れてないのに 今日のところはお別れですよ

たとえ最初で最後の夜でも あなたと居た事は忘れません

「さらば」(2002年、作詞:伊藤俊吾、歌唱:キンモクセイ)
夕焼け空はいつ見ても、どこで見ても、時間を少し巻き戻す魔力があるように感じる。
特に夕陽に照らされた住宅街は、現実世界から10~20年は前の景色に見える

アーバンな「サヨナラ」

流れる季節に 君だけ足りない はぐれた心の 足跡を探す

カバンにつめた 悲しい幸せ 遠くへ行くほど 君を思い出す

「サヨナラ」(1992年、作詞・歌唱:GAO)

次にお送りするのは「サヨナラ」という歌。詐欺師たちのロマンスをテーマにしたドラマ「素敵にダマして!」の主題歌になったのと同時に、ニュース番組のテーマ曲にも抜擢され、根強い人気を博した歌です。

歌っているのはGAOという歌手なのですが、当時「年齢・性別不詳」という設定で売り出されており(後に女性であることは判明)、さらにデビューに至るまでの前情報が「かつてロックバンド日本一を決める大会で優勝した経験がある」ことを除いてほぼ皆無という状態(「サヨナラ」は2枚目)。まだインターネットもそこまで発達していなかった時代とあり、この歌のヒットはセンセーショナルな現象を巻き起こしました。

この歌の特筆すべきポイントはサウンド面。Aメロは2音ずつに区切られたパートが延々と繰り返される単純な構造で、そこからサビに向けて音数や音階が広がっていく展開です。サビもいわゆる「山」が最後ではなくて中間地点にあるなど、王道とは若干異なる進行になっています。歌詞は失恋がテーマの切ないものですが、先述したサウンドの工夫が都会的なイメージやGAOのミステリアスな雰囲気と絶妙にかみ合い、切なさを残しつつも洗練された爽やかさのある仕上がりになっています。そこからは、未練はある者の前を向こうとしている視点人物の心情が描き出されているようにも感じるのです。

手のひらから伝わる愛 心をとかした

名前のない時間の中で二人夢を抱きしめてた

何も失くさないと信じていたあの頃に… 遠くへ もっと遠くへ

「サヨナラ」(1992年、作詞・歌唱:GAO)
建物の屋上や展望台のデッキから都会を見下ろすと、普段自分がその中にいることが信じられなく
なる。「豆粒大の」人間たちが、今日もパノラマビューのどこかでドラマを起こしている

暗い場所から前を向く「さらば青春」

僕は呼びかけはしない 遠くすぎ去るものに

僕は呼びかけはしない かたわらを行くものさえ

「さらば青春」(1971年、作詞・歌唱:小椋佳)

音楽生活50年の節目での引退を決め、現在はラストツアーを行っている小椋佳。楽曲提供者としてのイメージが強い人も多いかもしれませんが歌手としてのデビューが先です。そして、デビューシングル「しおさいの詩」のB面曲として納められたのが、後に彼の代表曲にまで上り詰めた「さらば青春」でした。

この歌は、歌詞だけ読むと妙に暗いのです。「黒い水が抱きこむように流れていく」とか「みんなみんなうつろな輝きだ」とか、物に関する妙に暗い描写がぞろぞろと並んでいます。しかし、この曲の歌詞の神髄は 「暗い過去を振り返らずに前に歩みを進める」というメッセージ。 それを代弁してくれるのがサウンドで、フォークギターを小気味よく鳴らしながら実にテンポよく進み、視点人物の心情をありありと表します。 この曲は、新たな旅立ちのための歌としてA面曲を差し置いて絶大な支持を博し、その年の紅白でも披露されました。

見るがいい 黒い水が抱きこむように流れていく 少女よ、泣くのはお止め

風も木も川も土も みんな みんな たわむれの口笛を吹く

「さらば青春」(1971年、作詞・歌唱:小椋佳)
ふと、川の流れをあそこまで激しいものとして描写した歌もなかなか珍しいな、と気が付く。
人間とは、大河の流れに雄大さ・穏やかさを感じずにはいられない生き物なのかもしれない

新たな舞台に燃える「さらば碧き面影」

壊れそうな 僕の心 優しく包み込んで君は笑う

「まだまだ諦めるには早いよ」と

「さらば碧き面影」(2006年、作詞: 北側賢一、 歌唱:ロードオブメジャー)

本日最後にお送りする楽曲は「さらば碧き面影」。ロードオブメジャーの楽曲で、彼らにとっては、2004年にリリースされた「心絵」以来2年ぶりにアニメ「MAJOR」のタイアップがついた楽曲となりました。

この曲のテーマは「思い出の超克」。これまでに直面してきた艱難辛苦を思い出に昇華し、さらに前に進んでいこう、という力強いメッセージが込められたストーリーが詞の中にあります。サウンド的にはこのメッセージを引き立てるようにスローテンポなロックが選ばれ、ゆったりとしたペースで刻まれる力強いビートが聞く者を鼓舞し、思い出との別れと新たな環境への決意をより「熱い」ものにしています。主人公たちが並みいる強敵たちに打ち勝って栄冠を目指す「MAJOR」の世界線とのシナジーも言うまでもなく抜群で、ロードオブメジャーと「MAJOR」それぞれのファンにとって忘れられない名曲になりました。

今年のプロ野球の開幕戦はちょうど1週間後。愛知の雄・中日ドラゴンズは東京ドームで
読売ジャイアンツと対戦する。果たして立浪監督は初陣を白星で飾れるのか

おわりに

というわけで、今回は「別れ」のテーマをお送りしました。こうしてみると、「別れの歌」=「切ない・暗い」というステレオタイプからの脱却に成功した歌の数はかなり多いということが見えてきますね。

かくいう筆者もこれまでの二十年余の人生でそれなりの出会い・別れがありましたが、やはり笑顔で別れを告げるのは個人的にいいな、と思います。湿っぽいのは、やはり性には合わない気がするのですよ。『粋』のスタッフの任期は3年生の末までなので引退まではあと1年くらいになりました。そのときに笑顔で『粋』にサヨナラが言えるように、今はできることをしていきたい所存です。

それでは、今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。また来週・この時間にお会いしましょう~。

作者よりお知らせ

当コラムでは、内容向上などの参考とするため、読者アンケートを行っております。ぜひとも感想をおきかせいただければと思っておりますので、以下のURLより回答をよろしくお願いいたします。所要時間は1~2分程度です。

https://docs.google.com/forms/d/1oyWzQmlP1xmSZ_x4uGCZjOHnx29GuFG_OD3jAr0fzA0

このコラムで紹介した楽曲のプレイリストを用意しました。LINE MUSICで聴くことができます。以下のURLからアクセスしてください。次回以降の紹介曲についても順次公開していきますのでよろしくお願いします。

https://music.line.me/webapp/playlist/upi7nLrdtfvhxjzl_GXu9zYQaUd_BLXPXHlL?myAlbumIf=true

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村尾 佳祐

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