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コラム

【THE・今夜も音楽三昧】#10「ただ一筋目指せ、祈りを捧げよう」

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皆様こんばんは。「THE・今夜も音楽三昧」の時間がやってまいりました。今週もよろしくお願いします。

さて、今日は2月25日。名古屋大学では一般入試に入りました。多くの学部では明日まで、医学部などは明後日まで試験が続きます。受験生の皆様には全力を尽くしてきてほしいものです。

というわけで今回は、必勝祈願として「願い・祈り」をテーマに話をしていきたいと思います。今夜も最後までお付き合いくださいね。

夢の国の超有名曲。その名を冠し…

「願い・祈り」の曲と言って、一番最初に「星に願いを」が頭に浮かぶ方も多いのではないでしょうか?もともとはディズニーが制作し、おもちゃの人形に生命が宿る映画「ピノキオ」の主題歌として1940年に世に出た楽曲で、80年以上たった現在もなお、ディズニーソングの世界で一定の地位を築き上げている超有名曲であります。

時は流れて2009年。そんな名曲の名前を冠してCDデビューを飾ったバンドがいました。その名は「Flumpool」。これまでに「花になれ」「Over the rain」の2作品を音楽配信サービス限定で発表し、有望株として名をあげていた彼らは、CDデビューに際して送り出した新曲の名前に「星に願いを」を選びました。

行かなくちゃ この目に見えない感情が こんなにこの胸を

熱くする 満たしてゆく 壊れるくらいに

雨の日も風の日も忘れなかった 涙で濡れた笑顔

失くせない何よりも大事なモノ

「星に願いを」(2009年、作詞:山村隆太、歌唱:flumpool)

「この目に見えない感情」とは「今はいない人を恋しく思う心」のこと。相手の思いを受け止めきれることができずに終わりを迎えた恋。別れを悔やみつつ、前に進んでいく主人公の心情を丁寧に綴っています。

この歌はオリコンチャートで初登場2位を記録するなど評価を集め、音楽配信を普段利用しない層にも広く受け入れられました。そうして足がかりを作ることに成功したFlumpoolは、椎名軽穂の漫画が映画化された際の主題歌「君に届け」(2010年)やNHK音楽コンクール・合唱部門の中学生向け課題曲に採用された「証」(2011年)などのヒット曲を世に送り出し、根強い人気を博しました。

都会の夜は星が見えないが、流れ星を見ると祈りを捧げたくなるのは都会育ちの人間でも
変わらない。今夜も、ささやかな願いを夜空に捧げてみる

切なくも清らかなる「祈り」を捧ぐ

続いて紹介する楽曲のタイトルは、さらにストレートな「祈り」です。「涙の軌道」というサブタイトルが付いています。

迷ったら その胸の河口から聞こえてくる流れに耳を澄ませばいい

ざわめいた きらめいた 透き通る流れに笹舟のような祈りを浮かべればいい

「祈り~涙の軌道~」(2012年、作詞:桜井和寿、歌唱:Mr.Children)

歌っているのはMr.Children。彼らにとって3年ぶりの新作で、さらにこの曲で「Innocent world」(1994年)から続くオリコンチャート初登場1位の連続記録が30に達するなど、記録面にも刻まれる楽曲となりました。

歌詞は一見すると失恋を歌っているように見えて、自分の中の醜悪な側面との決別を歌っているとの解釈もできます。他にも無為自然的な思想が垣間見えるフレーズがあるなど、総じて人生訓が読み取れる内容が多くなっています。この楽曲はB面曲の「Pieces」もろとも、映画「僕等がいた」のタイアップが付いており、登場人物の人生が交錯するタイアップ先とのシナジーも抜群でした。

「オアシス21」(名古屋市中区)にある時計塔は、数字といい造詣と言い遊び心に富んでいる。
回る歯車や針の刻みが時の流れを感じさせ、遠い人生を近く感じさせる。そんな瞬間がたまにある

「家族」と「祈り」

続いて紹介するのは「Family song」。2016年の末に「恋」のメガヒットで一躍スターダムを駆け上がった星野源が、翌2017年の新曲第1弾として送り出した作品です。ドラマ「過保護のカホコ」のタイアップがつき、MVは星野の「当たり役」の一つとして挙げられるNHK制作「おげんさんといっしょ」の世界観へのオマージュが盛り込まれていることも話題呼びました。今回見ていくのは、この歌のサビです。2つの大きな祈りから成り立っています。

ただ幸せが 一日でも多く側にありますように

悲しみは次のあなたへの橋になりますように

遠い場所も繋がっているよ

「Family song」(2017年、作詞・歌唱:星野源)

この歌を作るにあたって、星野は「友達や仕事仲間といった広い意味での『ファミリー』や、構成員の性別にとらわれない『ファミリー』 (これは同姓婚の夫婦のことを念頭に置いての発言と思われる) など、懐の大きい曲を作りたいという思いで」制作を行ったといいます。どんな家族であれ、構成員の無事と安息を祈るのは同じだというわけです。う~ん、深い。

旧東海道や旧中山道の街並みを少し歩けば、こういった風情にあふれた木造建築が多数見える。
こうした家で3世代で暮らすのが当たり前だった時代とは如何であったのか、ふと気になってくる

ストレートに、サクラ咲ケ

受験に受かることを「サクラサク」と表すことが多いよね~という話を、約1か月前の「音楽三昧」でお話ししました(詳しくは#3を参照)。今日最後に紹介するのは、そんな「桜よ、咲いてくれ!!」という気持ちが率直につづられたこの歌です。

サクラ咲ケ! 君の胸のなかで揺れてた小さな蕾よ

負けないように くじけないように 今、歌うから

「サクラ咲ケ」(2005年、作詞:相田毅、歌唱:嵐)

2005年3月に発表された「サクラ咲ケ」。予備校のCMソングに選ばれており、「ミュージックステーション」(テレビ朝日系列)の特番では「春ソング」と「受験応援ソング」の両方で上位に食い込み、どちらのジャンルにおいても高い支持を得ています。また、嵐はこの曲で通算10作目のオリコンチャート1位獲得を達成のメモリアル記録を達成しました。

タイアップの影響もあり、詞の内容は聴く者の背中を押すような、熱く明るいメッセージで埋め尽くされています。一方で、聞き手によってテーマがさまざまに解釈できる柔軟さもあり、単なる受験生の応援にとどまらない世界観を醸し、発展性に富みます。そこに魅力があるのです。

サクラというのは実に不思議な植物。満開の青空をバックに舞う花吹雪もいいが、
灯火の明かりに照らされて、ぼんやりと闇に浮かぶ夜桜もまた粋な魅力を漂わせる

おわりに

というわけで、今回は「願い・祈り」に関する歌詞を持つ楽曲についてのお話でした。受験生各位が願いと祈りを胸に秘め、叶うべき夢の先に進むことを祈るばかりです。

さて、このコラムも気が付けば10回目となりました。ここまで読んでくださっている物好きの皆様、誠にありがとうございます。来月以降もゆるゆると方角に関する様々なお話を綴っていきますので、よろしければ是非。

それでは、また来週も金曜19時にお会いしましょう~。

作者よりお知らせ

当コラムでは、内容向上などの参考とするため、読者アンケートを行っております。ぜひとも感想をおきかせいただければと思っておりますので、以下のURLより回答をよろしくお願いいたします。所要時間は1~2分程度です。

https://docs.google.com/forms/d/1oyWzQmlP1xmSZ_x4uGCZjOHnx29GuFG_OD3jAr0fzA0

このコラムで紹介した楽曲のプレイリストを用意しました。LINE MUSICで聴くことができます。以下のURLからアクセスしてください。次回以降の紹介曲についても順次公開していきますのでよろしくお願いします。

https://music.line.me/webapp/playlist/upi7nLrdtfvhxjzl_GXu9zYQaUd_BLXPXHlL?myAlbumIf=true

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村尾 佳祐

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