
皆様こんばんは。今週もよろしくお願いいたします。
今週は月曜日にバレンタイン特別篇をお送りしましたので、今週2回目の更新になります。まだ特別篇を読んでないよ~という方は下のURLからどうぞ。
それでは、本日も最後までお楽しみくださいね。
黒鍵を全部使って奏でる「ロ長調」
今日ですが、初めに少し音楽理論っぽい話をしたいと思います。小難しい話はごめんだという方は読み飛ばしてくださって構いません。
「ドレミファソラシド~♪」と口ずさむあの音階は、詳しく言うと「ハ長調」あるいは「C」といわれるものです。「ド」から次の「ド」までの間を1オクターブと設定(こういった音のことを「基準音」と言います)し、その間の主旋律を長調のルール(簡単に言うと、2音目(ハ長調であればレ)は基準音の1音上、3音目(ハ長調ならばミ)は2音目の1音上…といった具合)に則って設定した音階、という意味になります。そして、基準となる音を動かすことで全体の音階を変えることができます(カラオケの「キーの変更」は、この「基準音」を操作することで音域の幅を動かして歌う人の声域に合わせる行為、ということになりますね)。
今回ですが、そんな音階の中でも半音(ざっくり言うとピアノの黒鍵に当たる音)をすべて使うことに特徴がある「ロ長調」(B)の曲がテーマになります。基準音を「シ」に設定した音階で、#や♭を使わなければ、 「シ」 「ド#」「レ#」「ミ」「ファ#」「ソ#」「ラ#」の7音で1オクターブが組織されます。
そんな、黒鍵をフルで使いながら演奏される歌について、見ていきましょう~。
「冒険っぽい」サウンドとしてのロ長調
一見「黒鍵を全部使う」と聞くと扱いが難しそうにも見えるロ長調ですが、実はクセはそこまで強くありません。いろいろな曲調に合わせることができます。例えば、この曲も実はロ長調です(最後のサビだけ転調でハ長調になりますが…)。
君と出会ってからいくつもの夜を語り明かした はち切れるほどMy dream!
トランク1つだけで浪漫飛行へ In the sky! 飛び回れ このMy heart
「浪漫飛行」(1990年、作詞・歌唱:米米CLUB)
21世紀世代にも馴染み深い曲の一つであろう「浪漫飛行」。沖縄旅行キャンペーンのタイアップがついていたこともあり、冒険心をそそられる、ワクワクするようなサウンドになっています。
冒険を連想させるロ長調の作品だと、他には…
風を感じよう 風を感じるんだ 涙乾かしてくれる風を探しに行こう
冒険の旅 誰かと出会うために 立ち止まらないさ
ほら、前に大切な君が待ってる
「風をさがして」(2010年、作詞:カシアス島田、歌唱:矢口真里&ストローハット)
こちらは当時全盛期を迎えていたフジテレビ系列の番組「ヘキサゴンⅡ クイズパレード」から生まれた曲で、アニメ「ワンピース」の主題歌タイアップが付きました(ヘキサゴンのナレーターがルフィの声優と同じ方が担当していたのがきっかけで実現)。採用された当時は本編のストーリーがあまりに過酷な局面を迎えていたタイミングと被ったこともあって一部で物議を醸したようですが、改めて聞くと冒険の始まりを想起させる爽やかな仕上がりとなっています。

どこか遠出をするたびに、ポケットに入れて持って出ていたらしい
「憂いのある」サウンドとしてのロ長調
一方で、このロ長調というのは、どこか切ない、憂いのある雰囲気を醸し出すにおいても割と扱いやすい音階です。例えば…
今年最初の雪の華を 二人寄り添って
眺めているこの瞬間にシアワセが溢れ出す
甘えとか弱さじゃない ただ、キミを愛してる 心からそう思った
「雪の華」(2003年、作詞:Satomi、歌唱:中島美嘉)
キラキラしながらも深い寂寥感を纏った、冬の情景をありありと連想させるサウンドに定評があり、同年の日本レコード大賞では金賞(現在の規定では「優秀作品賞」に相当)を獲得した「雪の華」。先述した2曲とは打って変わってどこか切なさのあるサウンドですが、これもロ長調です。他にも…
何度引き裂かれても 遠ざかっても繋がったままの 二人を包む瞼の奥の宇宙
星屑の中 ちりばめられた心が二つ 愛の闇を駆け抜けてく
想い 流星になり流れてゆくよ 君のそばまで 消える前に
僕たちは同じ星座だと信じて
「流星」(2010年、作詞:小渕健太郎、歌唱:コブクロ)
こちらも冬の夜空がテーマの「流星」。2010年第4クールの月9ドラマ「流れ星」のための書き下ろしで、運命に翻弄される登場人物たちのストーリーに映える仕上がりでした。
どちらの曲も、「切ないけれど暗くはない」というのが1つのポイント。ロ長調は意外と器用さがある音階なのかもしれませんね。

ブレブレになっていたようなロケーションでも、クリアな画像が返ってくる
「励まされる」ロ長調
これまで4曲のロ長調の楽曲について説明をしてきましたが、これら4曲すべてに共通しているのは、なんだかんだで「励まされる」曲であるということでしょう。エネルギッシュな進行としっとりした展開。方向性は違っても心の奥底に温かみを残すサウンドがあるのです。そういった目線でほかのロ長調の楽曲に目をやると…
さぁ心の目 見開いて しかと真実を見極めろ
失うモノなんてないさ いざ参ろう!
「GO!!!」(2004年、作詞:KOHSHI、歌唱:FLOW)
人気アニメ「NARUTO」のタイアップがつき、疾走感のあるサウンドと前向きなメッセージで支持を集めるこの歌もロ長調。さらに…
遊びも勉強もしたけど わからないことだらけ なら 輪になって踊ろう! 今すぐ
悲しいことがあればもうすぐ 楽しいことがあるから 信じてみよう
「WAになっておどろう」(1997年、作詞:長万部太郎、歌唱:V6)
「みんなのうた」出身、翌年には長野で開催された冬季五輪大会のテーマソングになったこの歌もロ長調。
総じて、ロ長調は明るさのあるサウンドを作るのに向いているといえそうですね。

特にラーメンには目がなく、気合を入れたいときの食事には選びがち(「音楽三昧」の#6も参照)
おわりに
と、いうわけで今回は「ロ長調」をテーマにお送りしました。このシリーズは時々やっていこうかなと思います。続編もあるかもなのでこうご期待、ということで。
それでは、また来週もこの時間にお会いしましょう~。
作者よりお知らせ
当コラムでは、内容向上などの参考とするため、読者アンケートを行っております。ぜひとも感想をおきかせいただければと思っておりますので、以下のURLより回答をよろしくお願いいたします。所要時間は1~2分程度です。
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