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コラム

【THE・今夜も音楽三昧】#1「聖夜を聴く」

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皆様こんばんは。企画部の村尾です。

今日はクリスマスイブなんですねぇ。あと1週間で今年が終わってしまうとは、時間の流れの速さを感じますね。

そんな夜に第1回をお送りするコラム連載「THE・今夜も音楽三昧」。70年代フォークから現在の楽曲まで連綿と続く邦楽の系譜について語っていくコラムとなっております。形式にこだわらず、さまざまなアプローチで気ままに綴っていきます。

ちなみに、作者はこれまでに「あの日の歌に寄す」という音楽記事を2度執筆していますが、この形式でお送りすることもありますし、違うこともあります。あくまでもフリーダムに、音楽についていろいろな話をしていければと思っておりますので、よろしくお願いします。

👆筆者の過去の音楽記事です。暇な人は読んでくださるといと嬉し。

それでは、さっそく第1回に参りましょう。改めて、本日は12月24日ですので、クリスマスソングの話にしましょうか。

聖夜の魔法と、そのアンチテーゼ

クリスマスは「せいや」と呼ぶこともあり、それは「聖なる夜」と書きますが、どれだけアンニュイな感傷に浸っていても、どこか希望を感じられる時期ではないでしょうか。特にその傾向が強いと言われがちなのが恋愛。クリスマスに恋が成就すると俗に「クリスマス・マジック」と呼ばれるそうですが、その時期に都会の駅前などに出てみると、得も言われぬ信憑性があるように思われます…。

そんな「クリスマスのイメージ」は、創作物にもかなりの影響を与えています。小説で言えば中村航が執筆した「デビクロくんと恋の魔法」、映画ならば「ホイチョイ三部作」の筆頭としてスキーブームを巻き起こした「私をスキーに連れてって」…と言った具合に、クリスマスの時期をテーマにした作品は恋愛とセットの作品が多いですよね。結末が明るい展開のものが多いのも特徴的です。

この傾向は音楽にも言えることで、クリスマスソングの多くは恋愛をテーマにし、かつ終始ハッピーな展開になっています。が、中には「逆張り」と言いますか、必ずしもそうではない作品もあるわけで。特に有名なのがこの2曲ではないでしょうか?

クリスマスキャロルが流れる頃には 君と僕の答えもきっと出ているだろう

「クリスマスキャロルの頃には」(1992年、作詞:秋元康、歌唱:稲垣潤一)

1曲目は「クリスマスキャロルの頃には」。ハッピーというよりはどこか冷静な、大人っぽい関係が描かれます。でも、関係を前に進めるという意志は確かにあり、歌詞の続きでも二人の関係は続いているだろうという希望的観測がちゃんと持てる、非常にバランスの取れた世界線が広がっています。

きっと君は来ない ひとりきりのクリスマス・イブ

「クリスマス・イブ」(1983年、作詞・歌唱:山下達郎)

2曲目は「クリスマス・イブ」。まもなく発売から40年になろうという名盤にして若者世代相手にもかなりの知名度を誇るクリスマスソングですが、そのテーマは「恋に破れた男性の未練」。JR東海のキャンペーン採用されていたことも相まって雪の降る駅に佇む男性の画が浮かびます。それでも今聴いても古さをさほど感じない秀逸なサウンドで、クリスマスと言えばこれでしょ、という位置を掴んでいます。

また、「いつかのメリークリスマス」(1992年、歌唱:B’z)はクリスマスの時期ではなくそれから暫くたってからの時期に主軸があり、「幸せなクリスマスの記憶をあとから切なく思い出す」という構図になっているという、ある意味で変則的な1曲。こちらも決して明るいとは言えない展開ながらクリスマスのナンバーとして一定の地位を得ています。

もちろん現実世界では明るくクリスマスを過ごすことが一番でしょうが、だからこそ、こういった「王道とは違う」クリスマスソングは光るのかもしれませんね。

名鉄名古屋本線・前後駅(豊明市)前の広場では毎年イルミネーションが行われる。
どの年もクオリティが高く、カメラを携える人が絶えない。

ある種の勝負手だった「クリスマスソング」

ここまでに紹介してきたのはいずれも少し前の作品ですが、最近のクリスマスソングといえば? と問いかけてみたときにBack numberの「クリスマスソング」を連想する方も結構多いのではないでしょうか。

相原美貴の漫画「5→9」が月9枠でドラマ化されるのに合わせて主題歌として作られた楽曲ですが、この楽曲はBack numberにとってはちょっとした勝負手でした。これまでの作品とは少し違う点があったのです。

それは何かというと、「視点人物の積極性を高める」というものでした。これまでの楽曲ではどちらかというと奥手な視点人物を設定したうえで、それを巧みに動かすことで高い支持を得ていたBack numberが、積極的な語り手を本格的に投入するという試みを仕掛けたのです。

できれば横にいて欲しくて どこにも行って欲しくなくて 

僕の事だけをずっと考えていて欲しい でもこんな事を伝えたら

格好悪いし長くなるだけだからまとめるよ 君が好きだ

「クリスマスソング」(2015年、 作詞:清水依与吏、歌唱:Back number)

結果的にこの勝負手は吉と出、平成後期を代表するクリスマスソングとして高い評価を得ることになりました。2019年にはYoutubeでPV再生回数1億回達成の快挙を成し遂げています。

大須観音(名古屋市)の巨大招き猫もサンタの装い。その脇には純白のツリーの姿も

思い込みの裏をかいた「Merry X’mas in summer」

クリスマスは12月にやってきます。当然、どんどん冷え込んでくる時期です。だからこそ、我々の中には「クリスマス=冬の頭の風物詩」という構図が出来上がっています。例えばクリスマスに関する絵本を本屋で見てみると、雪の積もった夜の町の上を、赤いコートのサンタクロースがソリで飛んでいる…といったイラストが多く見つかると思います。まあ、そりゃそうでしょう。

しかしながら、冷静に考えてみると、季節は北半球と南半球で異なります。我々が連想する寒~いクリスマスというのは、日本やサンタ伝説発祥の地であるフィンランドがある「北半球の」クリスマスです。言い換えると、地球の1/2は「夏に」クリスマスを迎えるわけです。知識ではわかっていても忘れがちですね。しかし、そこに目を付けたクリスマスソングが今からちょうど35年前の1986年に出ています。タイトルは直球で「Merry X’mas in summer」。 歌っているのは「KUWATA BAND」というバンドです。

思い出が 波に揺れる 今宵はSilent Night

泣き濡れた日々よ何処? 御目(みめ)麗し君よ

「Merry X’mas in summer」(1986年、作詞:桑田佳祐、歌唱:KUWATA BAND)

その前年の1985年に、数々のヒットソングで時代の寵児となり、今でも第一線で活動するモンスターバンド・サザンオールスターズが1度目の活動休止期間(~1988年)に入ります。メンバー達はそれぞれの活動に勤しみますが、リーダーの桑田佳祐はその中で「デタラメなロック」をテーマとするバンドを立ち上げました。それがKUWATA BANDです。1年限定という条件で始動したこのバンドは、この曲を含む4曲のシングルを送り出し、いずれも名曲としてファンの支持を集めました。

この楽曲については、ロックに加えて当時流行していたシティ・ポップスのエッセンスを盛り込んだ、夏の曲とも冬の曲とも取れる洗練されたサウンドが特徴的です。南半球のひと夏(つまり12月ごろ)のロマンスがテーマになっており、クリスマスソングとしても高い完成度を誇ります。

さて、この曲が発売された1986年には、もう一つ外せないクリスマスソングが世に出ました。最後は、それに関する話をしましょうか。

春日浦公園(蒲郡市)から見える三河湾。海水浴のイメージからか夏のイメージが強い
砂浜も、冬に歩くとまた新しい発見があったりするもの。

「史上最大規模」

きょう、2021年12月24日はとある特別番組の放送からちょうど35年の節目を迎えた日です。その番組の名前は「メリー・クリスマス・ショー」(日本テレビ系列)。

今やお笑い界の超重鎮となった明石家さんまが司会を務めたこの番組は、様々な楽曲のヒットでニューミュージック界の女王の座に君臨していたユーミン(松任谷由実)と、先ほどの話にも登場した桑田佳祐を中心に、当時の音楽界の顔というべき歌手が20組近く集い楽曲を披露するというもの。今でこそ「FNS歌謡祭」(フジテレビ系列)や「音楽の日」(TBS系列)、それに「ザ・ベストアーティスト」(日本テレビ系列)などこの手の特番はたくさんあるものの、当時はそのような番組と言えばそれこそ「紅白歌合戦」くらいなものだったので、日本全土で話題騒然となります。

中でも話題を呼んだのが、「この番組のためだけに作られたクリスマスソング」でした。タイトルは「Kissin’ Christmas」。先述したユーミンと桑田がそれぞれ作詞と作曲を担当し、番組の最後に出演者全員でそれを歌う、という壮大なプロジェクトが実行されたのです。

クリスマスだから言うわけじゃないけど 何か大切なことができるような…

(中略) 今年の思い出にすべて君がいる

「Kissin’ Christmas」(1986年、作詞:松任谷由実、歌唱:「メリー・クリスマス・ショー」出演者一同)

この曲の音源はレコード化されず、長らく当時の映像以外では確認できない「幻の存在」となりました(が、2011年に桑田がソロデビュー25周年記念のベストアルバムを出した際に全パートを桑田が歌ったバージョンは収録されました)。まさにクリスマス特有の特別感が生み出した楽曲だったのです。

サカエチカにあるクリスタル広場は電飾で魅せる。普段は賑やかな広場も
この時期はどことなく落ち着きを感じさせる光景を見せてくれることがある。

おわりに

最後まで読んでいただきありがとうございました。

このコラムではこういった具合に、様々な時代の邦楽について、様々な角度・スタイルから気ままに綴っていきます。ぜひぜひ、よろしくお願いしますね。

更新は毎週金曜日…なのですが、来週は大晦日ですよね。そこで本コラムは、来週に限って金曜日ではなく水曜日にお送りします。ぜひともお楽しみに。

それでは皆さん、良いクリスマスを。

作者からお知らせ

当コラムでは、内容向上などの参考とするため、読者アンケートを行っております。ぜひとも感想をおきかせいただければと思っておりますので、以下のURLより回答をよろしくお願いいたします。所要時間は1~2分程度です。

https://docs.google.com/forms/d/1oyWzQmlP1xmSZ_x4uGCZjOHnx29GuFG_OD3jAr0fzA0

このコラムで紹介した楽曲のプレイリストを用意しました。LINE MUSICで聴くことができます。以下のURLからアクセスしてください。次回以降の紹介曲についても順次公開していきますのでよろしくお願いします。

https://music.line.me/webapp/playlist/upi7nLrdtfvhxjzl_GXu9zYQaUd_BLXPXHlL?myAlbumIf=true

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村尾 佳祐

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